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俯きながらそう言葉にする深沢くんに、自分で言うのは恥ずかしいがこれだけははっきりさせておきたくて問うと、ますます赤くなりながら目をきょろきょろと泳がせて、やがて観念したようにそう目を閉じて答えた。
面と向かって誰かに好きだと言われたことのない私は、苦手な人に好きだと言われたというのに、同じように赤くなってしまう。
「で、でも深沢くん、今までそんな素振り一つもなかったじゃん! 隣なのに全然話しかけてこないしっ」
「隣だからだよ! 好きな人がすぐ隣にいると思うと何話していいか分からなくなるんだ。だから、いつも少女漫画読んで何か話すきっかけになるようなヒントがないかと、勉強してるんだけど……」
「あ。それで少女漫画読んでたの?」
「え?」
「あっ、ううんっ」
どうしてほとんど会話ゼロの私を好きになるのか分からなくてそう訊いたら、思いのほか大きな声で、勢いよく顔を上げて言われるものだから思いっきり目が合っちゃって、少し照れる。けどその深沢くんの言葉で少女漫画を読んでいた理由が分かって納得していると、案の定「何で知ってるんだ?」というような顔をされて、どうにか笑ってごまかす。
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