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「俺、見てれば分かるように人見知りだし、口下手だから、クラスでも友達一人も作れなくてずっと一人だったけど。でも、二年になってクラス替えで佐々木さんと初めて会ったとき、佐々木さん、笑って『よろしく』って言ってくれたんだ。誰かに笑いかけられるとかほとんどない俺には、何か、もう、その笑顔が眩しくて、それで……」
相変わらず目を左右に泳がせながら紡がれた深沢くんの気持ち。聞いてるこっちが恥ずかしくなるようなその話に、思わず心の中で「それは本当に私のこと? 美化しすぎじゃない?」とツッコみたくなった。
初めて深沢くんと会った日。確かに私はそう言って挨拶した。それは覚えてる。
けど、私にとってはそんなのただの挨拶でしかなくて、しかもそれ以降から今まで挨拶以外のまともな会話らしい会話はしたことない。今日が今までで一番話してるくらいだ。
それに私は、深沢くんに苦手意識を持ってる。深沢くんのことをよく知りもしないで勝手に苦手だなんて決めつけてる私が、そんなふうに好意を持ってもらっていいのかな?
罪悪感を感じている私に気付かないまま、深沢くんは続ける。
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