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大学の卒業が近づき就職先も教授の紹介で決まった頃。俺には美人で聡明でまっすぐな性格をした彼女ができた。教授の娘でゼミで一緒の時から彼女とは気が合った。頭の回転が速く聡明な彼女と話をしているのはとても楽しい時間だったのだ。 彼女と付き合って1年ほどが経過した頃、彼女が俺の家に来たいと言い出した。ご両親に挨拶がしたいと。すでに婚約を約束していた俺は快くそれを受け入れた。 しかし、気になったのは家に今でもいるあいつの事だった。俺にしか見えない幻覚があると知られれば彼女との仲が壊れてしまうかもしれないからだ。俺はその日、そいつをいつも以上に痛めつけて、彼女が来る日は大人しくしていろよと言った。 「ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ」 突然、そいつが気味悪く笑った。 「お前だけが幸せになれると思うなよ」 俺はそいつを強く殴りつけて黙らせた。そいつの言葉を聞いたのは随分久しぶりだった。
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