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攫われるように連れて行かれたのは、あなたの住まう屋敷の奥の奥でありました。
傍で見ているだけでも心揺らすあなたの寵愛を、我が身で受けることになろうとは。
女どもの嫉妬と怨念は、それはそれは凄まじいものでした。
どす黒く渦巻くその炎に炙られても、あなたの手がもたらす悦楽の炎の熱には遠く、この身を焦がすには至りませぬ。
ただ、いつかこの手は触れることを止め、新たな女へと差し伸べられるのであろうと思うと、我が身の熱が冷め、たちまち凍えていくような心持ちになるのでした。
いっそ、怯えて待つよりは……胎内であなたの子を育みながらひたすらそのことばかり考えておりました。
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