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「…きゃっ!!  …いったぁーい…  …あーんっ!  …ああーーんっ!!  …お婆ちゃん、どこぉーっ!!」 少女は気の根っこに躓いて転んだ。 そして座り込んだまま涙を流している。 少女はキレイな蝶を追いかけていて、 キャンプ場に程近い森で祖母とはぐれてしまった。 少女はついに声を張り上げて泣き始めてしまったのだ。 その時、誰かが歩いてくる気配を感じた。 時折、木の擦れあう音が聞こえた。 少女は泣き止みそっと高い草の影から見ると、 少女よりも小さな男の子が歩きながら笑顔で地面を見ている。 少女はひと目見てこの男の子に決めたのだ。 少女はただの一目ぼれじゃないと感じた。 ―― きっと日本人じゃないよね… ―― などと少女は考えていたのだが、思い切って声を掛けることにした。 だが、この泣き顔を今はキレイにすることができないと感じた様で、 少女はあとできっと祖母に叱られるのだが、 やってはならないと言われていたことを、 今回だけと思いながらやり、少年に声をかけることにした。 少年はキャンプに来ている様で、薪を探していたようだ。 少女は少年が、 ―― 外国語しか話せなかったらどうしよう… ―― などと思いながら、     
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