149人が本棚に入れています
本棚に追加
不手際と諦めと ①
非情に徹することもできた
有無を言わせず放り込み
都合の良いように扱うことも
やろうと思えば可能ではあった
だが、それはしなかった。出来なかった。
彼が目覚め、眼が合い
私のことを『天使』と呼んだ
それは世辞でなければ嫌味でもない
純然たる気持ちだった
だが、そんな純粋な言葉は
自責と後悔の念となり心を塗り潰していく
――そんな眼で見られるような高尚な存在じゃない
だからこそ、私は自らを卑下し
道化を演じようとしてみせた
そうすることで、私という存在は
畏敬の念を抱くに値しない愚か者であると認識させようとした
だが、結局のところ道化には未だなりきれずにいる
否
道化を演じようとしているこの姿こそ
まさしく道化(愚か者)なのだろう
最初のコメントを投稿しよう!