不手際と諦めと ①

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「ほい?街の場所ですか?」 「ああ。地理なんて分からないし この世界の常識とか、作法とか、言語とか… 他にも知っていることがあるなら、教えてくれると助かる」 まず始めに何かしらの行動をする前に 基本的なことを知っておきたいと思った 日本の知識や常識がまず通用するとは思えない。 多少の認識の違いが相手にとって失礼にあたる場合もある 人種…地球より多種多様な種族のいるこの世界なら尚更のことだ。 知っておいて損はないし、むしろ この世界に早目に溶け込められるなら自分にとってプラスになる …というのも、漫画からの知識の流用なことは黙っておく 幸いにもこの世界のことを熟知している人物は目の前にいるおかげで偏った知識は持たないだろう 「合点承知ッス!あらよっと」 落ちていた手頃な枝を掴みリリエルは 地面に簡単な図を書き始める 大きな円を描き、円の外側に左右上下で小さな四角を描く 一通り描き終わると円の中心部を枝の先端で指した 「ざっくり言いますと、ここが現在地です。 『フラメア草原』って呼ばれてますよ 魔物も少なくてピクニックに最も適してます。超オススメです」 「…ピクニックって大事な情報なのか?」 「当たり前じゃないですか!1年に1度はお祭りも開いてるくらい安全なんですよ!出店も美味しいものばかりなんですから!」 論点がずれている気がする。 「あ。ついでに言いますと この草原を介して様々な種族の統治する土地に繋がってます。 ここからだと一番近いのが人間の街ですね、この道まっすぐです」 「ピクニックより明らかについでの方が重要じゃないか!」 「貴司さんはピクニックの重要さを分からないと!?」 「今すぐに覚えなきゃいけない情報じゃないだろ!?」
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