不手際と諦めと ①

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「東に人間、北に魔族、西に亜人…南には何がいるんだ?」 説明の中で省かれていた南側を尋ねる おそらくは別の新しい種族がいるのか、例えば精霊とか だが 「魔王」 と。リリエルは短く一言だけそう答えた 「魔王ってあの『魔王』か?ゲームとかのラスボスにいる…」 「そッスね、大体合ってます アレを倒したらハッピーエンドが待ってるヤツです」 「なるほどな。それで『勇者』として転生…」 つまり、南の方にいる『魔王』を倒すことが最終目標。 勇者として転生した自分が戦うという展開… 「…て、まてよ。力を使い放題ならあっという間に 終わるんじゃないか?サポートもあるし」 「ああ…えっと」 「それとも条件とかあるのか? 誰かを連れてこないとダメとか、道具が必要とか」 「あのー…貴司さん?」 「ん?ああ、なんだ?」 「あー…そのーですね、なんと申し上げるべきでしょうか お伝えしづらいというか、話づらいというか」 リリエルがなんかおかしい。 いや、おかしいのは元々だが 変によそよそしい。気弱な感じが反って不気味に映る
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