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「あのー。怒りません?」
「話してくれなきゃ怒りようも無いんだけど」
「あ。じゃあ話さなくてOKということで」
「いいわけないだろ」
「ですよねーあはははー…はぁ」
とリリエルは乾いた笑顔を浮かべ、がっくりと肩を落とす。
顔を上げたかと思うと人差し指同士をくっつけながら
視線は正面ではなく左を向き、歪な笑顔を浮かべている
「あのー…力が使い放題といいましたよねあのとき」
「言ったな。転生前だったか…まさか使い放題じゃない、とか言い出すんじゃないだろうな?」
リリエルが話すより先に言葉を連なる
「いえいえそんなことは!…なきにしもあらずというかないわけでもないというかなくもないというかなくなくないというか…」
「こっち見ろ」
リリエルは体を正面に向けながら相変わらず視線を露骨に外している。
こんな感じのお菓子のマスコットキャラクターがいたような気がしないでもなかった。
「あー…つまりですね…
事故っちゃったといいますか…不手際がありまして」
「…事故?」
猛烈に嫌な予感が頭を過る
そもそも事故という単語に良い意味は無いとは思うが
「転生自体には成功したんですけど…
力を貴司さんに譲渡しようとしたときに…えーと…
落っことして壊しちゃった☆」
「は?」
リリエルが舌をペロリと出し
滝のような汗を浮かべながら笑顔でそんなことを話した
「その欠片が世界中に散らばって…それを回収するまで貴司さんは
普通の人間です。力も使えません。ごめんね☆」
「は…?」
「はあああああ!?」
絶叫が木霊した
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