いつもの。

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―――わかっている 魂を輪廻の輪から意図的に外し 己の目的の為に利用し、身勝手に使うことだ。 それは死者に対する冒涜であり、決して赦される行いではない。 ――わかっている 今そこに『眠っている彼』は 言うなれば被害者である これから起こることを告げられ、最悪の場合逆上するかもしれない。否、正当な怒りだ。彼にどんなことをされようと文句など言える立場ではない ―わかっている だが、それでも頼らざる得ないのだ 手段を選んでいられる時間はとうの昔に過ぎ去った。 たとえ、どんな犠牲を払おうともやり遂げねばならない この名の知らぬ少年を道具のように扱ってでも。 わかっている 残された時間は少ないのだから。
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