いつもの。

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人の話を聞かないハイテンション天使(疑)に 意思疏通を試みる。 とは言っても言葉自体は通じてるようだから 難しくはない…はずだ。 「とにかくだ…色々、聞きたいことがある」 「はいはいなんなりと!」 本当は山ほどの疑問や質問があるが それを一辺に聞いて、答えられても 自分が理解ができるかわからなかった 返って混乱するかもしれないし、ひとつずつ 彼女から事情を聞くことにした 「あー、まず初めにだけど…あんたは?それに、ここは…」 「おあっと!私としたことがこれは失念してました なんたる失態なんたる不覚!」 天使(笑)が海外のドラマにありそうな わざとらしいリアクションをとり、こほん。と軽く咳払いをする 途端、彼女の雰囲気が突如として変わった 「…私はリリエル。魂の導き手です」 その声は慈愛に満ち溢れ、どこか憂いを帯びていた 「魂の…導き手?」 「はい。天寿を全うした、或いは道半ばにして 生を手放した者の魂をあるべき輪廻に誘う使命を受けています。…現世(うつしよ)の言葉を借りるならば「天使」と例えれば ご理解いただけるかと存じます」 彼女の雰囲気の変容ぶりに再び面を食らってしまう 先程とは違う、落ち着きと冷静さを見せている。 そのあまりの変わりようにに別人と疑うほどだった 「まあぶっちゃけ死神みたいなもんですねあっはぁ☆」 「縁起でもねえな!?」 気のせいだった 「いや、ちょっと待て。あんたは死神って言ったな? だとしたら俺は…死んだのか?」 「あれあれ?思いの外随分察しが良いご様子。 その通り。ここはいわゆる『あの世』ってヤツです。 もっと、ここはどこだー!、ここから出せー!的なことになるのかと思ったッスけどね」 「…そう思ってないわけじゃないからな? こんなわけの分からないところで目が覚めて、わけの分からないあんたからわけの分からないこと捲し立てられて 逆に冷静になってきただけだ それに…ここで起きる前のことなら、ぼんやりとだけど覚えてる」
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