1人が本棚に入れています
本棚に追加
娘は婿との結婚生活が嫌で、じきに体調を崩しがちになりました。もともとあまり丈夫ではなかったのです。
そんな矢先に妊娠しました。娘は頑張ってかわいい赤ちゃんを産みましたが、婿は生まれたのが女の子であると知ると「男じゃないのか」とだけ言いました。そして妻の妊娠中から付き合っていた愛人のもとへ行って、戻ってきませんでした。
娘は赤ちゃんを残して死んでしまいました。
女中は赤ちゃんを抱いて、この子は絶対に幸せにしようと決心しました。つまり、できるだけ裕福で高貴な、できれば王子様と結婚させようと考えたのです。自分の孫がそうなったら、どれほど素敵でしょう。孫は感謝して、自分もお城に招いて、召使に囲まれた贅沢な生活をさせてくれるはずです。
やがて婿が愛人とその連れ子たちを連れて屋敷へ戻ってきました。
連れ子は5歳と3歳の女の子でした。連れ子たちは赤ちゃんを見て「かわいい!」と喜びました。後妻となった愛人も「あなたたちの妹よ」と嬉しそうでした。
後妻は育ちはよくありませんでしたが、子どもの頃から苦労をしてきたため、心根の優しい人でした。彼女は婿が独身だと信じて付き合っていたのです。
真実を知って屋敷へ来た後妻は、死んだ先妻の供養を丁寧に行い、残された赤ん坊を実の子と同じように育てました。
女中は面白くありません。またしても子どもを取られたのですから。
後妻が屋敷へ来た後も、婿はほかに何人も愛人を作って帰ってきません。なにしろ莫大な財産を自由に使えるのです。毎日遊び暮らしていました。
最初のコメントを投稿しよう!