シンデレラと魔法使いのおばあさん

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一番上の娘が18歳、末娘が13歳になる頃には、見た目の差は歴然としていました。末娘は不器量な姉たちをなにかと見下しました。女中が教えた通りに、不器量な娘は幸せな結婚ができない、私は美人だから誰よりも幸せになる、と口癖のように言ったのです。 姉たちはいじけて僻みっぽくなりました。継母は末娘を嗜めようとしましたが、末娘はやはり女中が教えた通りに「愛人が大きな顔をするな、この人殺し」とののしりました。先妻に対して罪の意識を持っていた継母は、ただ涙を浮かべるだけでした。それを陰から見ていた女中はとてもすっきりした気分でした。 次の年、婿が死にました。酔っ払って馬車にひかれたのです。婿は財産をほとんど使い果たしていました。 その次の年に、お城で盛大な舞踏会が開かれることになりました。国中の娘を呼んで、王子様の婚約者選びをするのです。参加できるのは15歳以上の娘でした。 継母は3人の娘を参加させたいと思いました。ところが上の娘2人が持っているような立派なドレスが末娘にはありません。15歳のお祝いをする前に財産がなくなってしまったのです。 継母は自分や姉のお古を直して着せようとしましたが、末娘は怒って、新品でなければ嫌だと拒否しました。継母は困り、そして考えました。こんな娘と結婚したら王子様がかわいそうだ、と。 上の娘たちは、お裁縫や料理やダンスが得意でした。あまり美人ではないとわかっていたので、特技を身につけさせたのです。末娘は何もできませんでした。何か教えようとすると、古くからいる女中が出てきて「いじめだ」と庇うのです。末娘もそれに甘えて何も覚えようとはしませんでした。
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