SHADOW DAYS

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 だけど、目の前からコッコの姿は消えてしまった。しかし、不思議と悲しさはない。何となくいつかは消えるんだろうってわかっていた。そして、俺の中の不安も薄くなっていた。完全になくなったわけじゃない。でも、コッコの伝えた言葉が俺の中で繰り返される。 ……大丈夫。 「なんだ、裕太。久々に帰って来て」  父の休日に合わせて俺は帰省した。母親はコーヒーをいれて俺を出迎える。 「いや、一応、報告しておきたいことがあって」と、俺は背筋をぴんと伸ばす。  カメラマンになるという報告をしに来たのだ。やはり親としては子どもの将来は不安のはずだ。親に何と言われようとカメラマンを目指すつもりだが、報告だけはしておきたかった。 「あらあら。何だか改まっちゃって」  母は場の空気を和ませるかのように、穏やかに笑う。 「いや、就職のことなんだけどさ……」 「なんだ? 内定決まったのか?」  父は表情を明るくする。そんな様子に次の言葉を言うのがためらわれる。でも、言うしかない。 「いや……まだ。あの、俺さ……カメラマンになりたいって思ってるんだ」  その言葉を放った瞬間、父の表情があからさまに曇るのを感じた。まあやっぱりそうだよなぁと思う。正直、周りの友達にはこんなこと言ってない。言っても笑われるだろうなと思った。まだ写真系の学部に通っていたならわかる。だけど俺は何となく受かった経済学部に通うだけの学生。いきなりそんなやつがカメラマンになりたいだなんて言っても笑われるのが落ちだろう。 「裕太。あのな、お前の人生だから俺が口出しするのもどうかと思うが……カメラは趣味じゃダメなのか? とりあえず何でもいいから就職して、趣味で写真を撮って、そこから公募展とかに応募とかもできるだろ?」と、至極真っ当な父の言葉。 「いや、それはわかってるんだけど……ちゃんと自分で食べていけるように頑張るから認めてほしいんだ。俺、写真は真剣に向き合いたいって思ってて……最初は仕事だって、とりあえずどこかに就職できれば……くらいにしか思ってなかったけど、でもそれは違うんだ」  しどろもどろになる言葉。射すくめられるような父の視線に縮こまる俺。 「何が違うんだ? お前、現実を見ろ。写真で食べていけるなんてほんの一握りなんだぞ? 失敗したらどうするんだ?」  次々と浴びせられる父の言葉。 どうしようかと言葉を考えていると、「大丈夫よ」の一声。
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