サーマルワンピース

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サーマルワンピース

1.  蝉が毎日けたたましく叫ぶように、鳴いている。子供達の夏休みも、中盤になった。太陽は惜しげもなく、ギラギラと街中を照らしつける。暑すぎて体も街も、全部焼けてしまいそうだ。アイスクリームが恋しい。    そして遠くに蜃気楼が見える。  行きつけの明石焼きの店では、かき氷も売るようになり毎日、飛ぶように売れているらしい。  朝も昼も夜も、溶けてしまいそうな程暑いこの季節。  私達には、お盆休みはない。  商品がなかなか売れないけれど、休めないのが現状だ。  考えただけでゾッとする中、私は一冊のファッション雑誌を購入した。それを持っていつもの、明石焼きの店へ向かった。 「いらっしゃいませ」  奥さんの元気のいい声は、私の心を励ましてくれる。店内は冷房が効いており、涼しかった。  休みのその日、私は明石焼きとかき氷を注文した。味はメロン味。かき氷といえばイチゴが定番みたいなものだけど、私はメロンの味が大好きだ。見た感じ涼し気だから。
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