サーマルワンピース

2/15
前へ
/277ページ
次へ
 明石焼きより先に、メロンのかき氷が目の前におかれた。  雪山を彷彿させる、たっぷりの柔らかな白い氷の上にかかっている、緑色のメロンのシロップは、涼し気である。何となく他のシロップよりも爽やかなイメージだ。  一口頬張ると、柔らかな雪の食感がゆっくり口の中に広がる。幼い頃大雪が珍しく積もった時、冬にその積もった雪を、口に頬張った事があった。  そのしゃりしゃりした食感もあり、ふんわりとした食感もある。メロンの甘い味が後ろから、じんわり味がしみる。しゅっと口の中で柔らかな氷は溶ける。メロンソーダに近い味だ。 (うーん、おいしい)  口の中で、夏特有のおいしさを噛みしめながら、ファッション誌のページをめくった。 (あ!)  私はまた、違う意味で目を輝かせた。
/277ページ

最初のコメントを投稿しよう!

455人が本棚に入れています
本棚に追加