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沢野さんも、パッと顔を輝かせた。
メンズ商品の検品を行っていた西野君と河合さんは、きょとんとしながらこちらを見る。検品作業をしながら入荷したばかりのサーマルワンピースの登場に、女性スタッフが、わいわい騒いでいるのを見て、驚きを隠せないようだ。
「そんなにそれ、人気なんです?」
「そうや。あんた知らんの?」
店長は眉を顰めた。西野君は「知らないです」と、焦った口調で正直に述べた。
「きっと、これ、売れると思うで」
今度は店長もかなり確信をもって頷く。先ほどは、曖昧な返事をしていたのに、だ。その横で私は黒を買うと、言った。沢野さんは、こげ茶色を買うらしい。
そんな中、チラリと店長は私達二人を一瞥した。
「ちゃんとピンクも買いますからっ」
私は促される事を先読んで、発した。すると沢野さんも大きく頷いた。沢野さんも何を言われるか、予想していたらしい。
「私もピンクもちゃんと買いますから」
空気を読んだ発言だった。
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