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それから二日後の事だった。
その日は『遅番』だった。昼から、二十時までの勤務。遅番の翌日は休みになっている。その日は日曜日。店内はとても混みあう日だ。でも売り上げは一週間のうちで一番いい日。
『ミント・シトラス・アレックス』の商品は、女性のファッション雑誌に載っている事も多い。色んな年齢層の客が店内を物色していた。予想以上の盛況ぶりで、レジも短い列が出来ていた。今日はメンズ商品もよく売れる日だ。
出勤すると早速西野君がまた店長に、スタッフオンリーと書かれたドアの向こうの狭い部屋で、怒られていた。
今度は何をやったのだろう。
「あんた、もうちょっと、ちゃんと仕事教えや!」
店長は決まってその後、私に怒鳴る。また深刻なトラブルを起こしたか。いつもの事だ。私はげんなりしながら、肩を竦めた。
「今度はどうしたんですか?」
「あまり女性客に接客しすぎて嫌がられたんや!」
店長はどすのきいた声で、教えてくれた。
あぁ、それは最悪だ。
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