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或日、私は彼等が河童に変わっている事を発見した。別段驚く事もない。私は人間というものに愛想がつきたのだ。いや、人間の皮を被った畜生に愛想がつきたのだ。彼等は薄情で、傲慢で、修飾で、我儘で、貪欲で、……数をあげるときりがない。 暫くの間様子を窺ってみると、どうやら彼等は自分が河童に変わった事に気付いていないようだ。そもそも気付こうとする景色がない。彼等は知性があるにもかかわらず、気付こうとする景色すらないのだ。全く小我から生まれる自我程憐れなものはない。私は哀憐の情に似た失望に近い感情を抱いた。
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