【其の二の挑戦 兄を言い負かす事】

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 そして、9月の、とある土曜日。  いよいよ、明日から4日間は合宿だ。  今年は水曜までは連休で大会も無いので、俺達A校陸部とC校陸部との合同合宿となる。  今回は自由参加なので、合宿したい人だけが参加する。  もちろん、英さんも参加だ。  C校の陸部顧問だった先生が、この春、俺達のA高校に着任しては陸部顧問になった。  新しく顧問になった久住先生は、C校の陸部顧問と恋人らしい。  「4日間でもいいから同じ時間を過ごしたい。お前等は、俺達の恋人の時間を奪っては引き裂くつもりか?恋人と一緒に居たい、という俺の気持ちを奪うのか…」  そう懇願してきた。  俺達部員一同は満場一致となって「応援します」と返したものだ。  すると、久住先生は嬉しそうな表情をして言ってきたのだ。  「ありがとう。それなら、俺は皆に提案する。こことC高校陸部で合宿をしないか。 もちろん、自由参加だ。参加しない奴は、学校での練習となる。参加する奴の為に、言っておく。場所は長野だが、そこでの合宿での大まかなことを説明する。  初日の午後は、長短の練習。  そして、二日目の午前中は、長短の練習。午後は、近くのプールで泳ぎだ。  で、四日目の最終日は、午前は長短の練習をした後、帰宅だ。  そして…、三日目は、午前から午後16時まではフリーで、内容は、これだっ!」  数枚の紙切れを見せてくれた。  オオオォォォー!!  歓声が上がり、俺も声を上げた。  そうでなくても『泳ぎ』という言葉を聞いて嬉しくしてたのに。益々、楽しみに拍車が掛かった。そして、やる気が出てきたのか、県大、地区大にも良い成績が残せ、インハイには俺を含め5人が出場して好成績を残すことが出来た。惜しくも3位にはならなかったが、それでも8位に入れた。やったぜ!  久住先生は「C高校では、年に3回、そういった『ご褒美合宿』がある」と、言ってくれた。2回目は12月に、3回目は3月にあるそうだ。  英さん。  8月にも会えたのに、また9月にも会えるんだ。  嬉しい、1ヶ月ぶりに会えるんだ。
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