第10章

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「――その、言うことっていうのは、今は言えないことなのか?」  ルヴ二の真っ当な質問が胸を痛ませる。  言うのなら、ここに来る前に言うべきだったことだ。しかしそれでは誓いが果たせない。それでも話さないままでは、皇帝への武器をひとつ捨てることになる。  この武器は、使わなくて済むならそれが一番良い。でもきっと、そんな訳にもいかないだろう。三人が持つ武器に対する反撃の手段は、ある程度用意されているだろうから。 「……今は、言えない」  ルヴ二だけではない。ミレナにも、ギノにも、多大な精神負担をかけることだ。今までに言う機会は確かにあった。しかし事前に伝えてしまえば、その時点で正常な判断ができなくなったかもしれない。――今となってはそうやって、話せずにいた自分を正当化するしかない。 「わかった」  ルヴ二は短く返事をして、ミレナとギノの頭に手を載せた。 「二人もいいな。サークに従え。こいつは滅多なことでは間違えない」 「ルヴ二……」 「頼りにしている」  ルヴ二が最後にサークの背を静かに叩く。その信頼が重くて、嬉しくて、どうしようもなかった。
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