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黒魔法使い。
人を殺める魔術を使う、悪しき存在。人間の敵。
見た目は人間と大きく違わないが、一般的に成人でも背が低く、すべてを飲み込んだような闇色の髪をしている。
この世界の歴史がいつから始まったのか知らないが、人間が殺した黒魔法使いを研究し続けて、得られた成果はたったこれだけ。その成果の代償が、多くの黒魔法使いの命と、黒魔法使いが声を上げる権利、という大きなものであったのにも関わらず、だ。まったく呆れた話だと人間は気づかないのか、研究と称した虐殺を牛耳る黒魔法研究所を崇めているのだから言葉も出ない。
挙げ句、人間に見つかった黒魔法使いの首には賞金がかけられ、ハンターと呼ばれる賞金稼ぎが登場した。「黒狩り」と称されたその行為はどこからか、いつからか、全世界に広まった。
しかし、人間から隠れて暮らす黒魔法使いの首をそう簡単に討ち取ることができるはずもない。ハンター一本で食っていける訳がない。だからハンターを名乗る者たちは寄り集まって傭兵団を結成し、国の防衛から猫探しに至るまで、様々な依頼を引き受けて生計を立てている。
黒魔法使いが人間に何をしたのか、知りもしないくせに。
世に厭われるものは、どんな時代でも、どんな世界でも存在するものだ。
厭われるものが、世を憎んでいなくとも。
「……馬鹿な話だ」
この声が、表情が、誰かに届いたならば。
小さな彼女は、凍らせて”しまった”噴水を見て、静かにため息をついた。
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