第4章

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 おどけたような口調で言ってみると、ニズが苦笑して呆れたように手を肩の高さまで上げる。 「お前のことだよ、ミレナ」 「……は、私?」 「何もしていない黒魔法使いを悪者扱いするな、ってさ」 「…………」  ミレナまで呆れて言葉を()くす。 (馬鹿なのか、アイツは)  ここに来る前に、トナ教徒の振りをしろとニズから口酸っぱく言われていた。教義に従わなければそうなることも、ギノは知っていたはずだ。  話せばわかるとでも思っていたのだろうか。だとしたら青い、青すぎる。ミレナは思わず頭を抱えた。 「……追放先は」 「馬車の向き的にコンニルだそうだ。面倒なことになったな」  ミレナは地理に詳しくないが、ここからなら、パリスナ王国よりコンニル公国に行く方が遠いことはわかる。陸路で行けるだけましだと思うべきなのか。 「馬車なら私たちも馬で行けば追い付ける。行こう」 「ダメ」  立ち上がったミレナを、ニズがたった一言で止める。まさか止められるとは思わなかったので、目を見開いて固まった。 「どうして? 今からなら国境を跨ぐ前に追い付く」 「追い付くだろうが、もう日は暮れてる。馬車も休むだろうけど俺たちも休まないと追い付けない。そうなるとまた野宿だ」
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