第4章

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*  酒場は、他の国に比べるとかなり狭い、という印象だった。カウンター席とテーブル席の距離が狭いので、どこからでも店員と話ができそうだ。 (つまり、騒ぎは簡単に酒場にいた全員に聞こえていたということか)  ミレナはため息をついて、ニズと隣り合ってカウンター席に座った。 「いらっしゃい。ご注文は?」  カウンターの内側にいる女将が声をかけてくる。彼女は暗い茶色の長い髪を一つに縛り、化粧っ気のない顔ははじけるような笑顔を浮かべている。 「酒、と何か料理を二つ。あといるものあるか?」 「酒以外の飲み物を一つ」 「はいよ。ちょっと待っててね」  女将がカウンターの奥に消えていく。ニズはその背を見届けてから、酒場の中をぐるりと見渡した。ミレナもつられて首を動かす。  テーブル席に二人組が一組、三人組が一組。カウンター席にはニズとミレナ、そしてニズの隣を一つ開けたところに女が一人。 「お姉さん、一人?」  ニズがありきたりな文句で彼女の興味を引く。女は酒を片手に持ったままこちらを見る。  彼女の目は金色だが、白味掛かっていて輝きがない。猫のような目の形と、赤い紅の引かれた唇は妖艶さを醸しだし、無造作な短く明るい茶髪に良く似合っていた。
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