第4章

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 情報を聞いた旦那の表情が一瞬で曇る。女は自信満々に頷いて、彼から離れた。 「信憑性はかなり高い。どう使うかは旦那次第ね」  女はまた笑って、カウンター席に戻ってしまった。 「……お前ら、そいつを外へ」 「旦那、どうするんですか?」 「コンニルに追放だ」 「コンニル……」  コンニル公国。この辺り一帯の不景気の原因を作った国だ。 『教義に異を唱えるのもナシだぞ』 『国から追放はあり得る。追放先はパリスナかコンニルになるだろうが――』  ニズの言葉が思い出される。コンニル公国に追放というのは、何か意味があるのか、それともニズの言うように追放先として妥当だからか。ギノには前者のような気がしてならない。 『真っ直ぐにトアイトンに行くには、何も問題を起こすなということか』  ミレナの言葉が刺さる。申し訳ない。ギノの所為で、彼女の目的を果たすのが遅くなってしまう。  このままでは、ただの足手まといだ。 「あの!」  ギノは先程情報を売った女に向けて声をかけた。彼女になら、任せられる。 「伝えてください。俺のことは放って、先に進めと」  彼女は少し間を置いてから、確りと頷いた。  これでいいのだ。これから先、何が起こるかわからないが、二人には会えるかもわからない。なら最後に迷惑をかけてはいけない。 (ごめん、さよなら)  勝手な別れの挨拶を、伝言として残さなかったのは、ギノの意地であり、願いだった。
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