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「……一つだけ、その情報について教えてくれないか」
「何? 内容によるけどとりあえず言ってみてよ」
「アイツを追放するなら、ここからならパリスナの方が近い。それでもコンニルに追放されたのは、その情報が原因か?」
ニズの質問に、シミラは頷く。
「あの男たちが最初から遠い方に追放しようって考えでなければ、そうなるね」
「……わかった、買おう」
ニズが了承して、金の入った袋を出す。ミレナには見えない位置で金のやりとりがされるが、硬貨の重なる音から、安い金額でないことはうかがい知れる。
「毎度。じゃあ耳を貸して」
シミラがニズに耳打ちする。ミレナには聞こえないが、ニズの表情が曇っていくのを見る限り、ミレナ達にとっていい話ではないのは明らかだ。
「……本当か?」
「信憑性は高いと言ったはずだよ」
シミラはもう興味を失ったかのように、また酒を飲み始めた。対するニズは呆然と口を押さえて固まっているので、ミレナはおい、と声をかける。
「……ああ、悪い」
「どんな話だったんだ?」
「ここでは話せない。悪いけど、早めに飯を食べてくれ。宿屋で話そう」
そう言いながら、彼自身も手つかずだった料理を食べ始める。ミレナも急いで口をつけるが、混乱した中で食べても、味はわからないままだった。
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