第4章

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*  時は遡り、ミラ王国、港町ルレベルク──。 「なぁ、あいつ結局帰ってこなかったな」 「うん、黒狩りに行ったっきりなんだろ?」  男たちが酒場のテーブルを、神妙な面持ちを浮かべて囲む。 「親父さんもお袋さんも、たまったもんじゃないよなぁ……」 「もしかして俺ら、この酒場から退かなきゃいけなくなるかも?」 「かもな。ハンターなんてやってなきゃ行方不明なんてならなかったわけだし」  彼ら──傭兵団レボウンドの面々は、自分達の発言に勝手に落ち込んでいる。しかし、すぐに酒場の奥から女将の姿が現れて口をつぐんだ。 「ロダさん。お疲れ様です」 「うん、あんたたちもお疲れ。手掛かりは相変わらず?」  女将ロダが尋ねると、やはりレボウンドの面々は下を向いて黙るしかない。ロダもそれは承知の上で聞いたのだろう、ため息もつかずに、言葉を続けた。 「主人が心当たりがあるって、出ていったわ」  ロダがさらりと放った言葉に動揺が広がる。 「え! ノストさんが?」 「心当たりって一体?」  少なくとも、ノストとロダの息子の捜索に当たっていたレボウンドの誰も、そんな心当たりは何もなかった。 「悪い予感がするとも、賭けだとも言っていたわ。──私たちの故郷よ」 「故郷……?」  ここにいる者たちのうち、ロダたちの故郷を知っているものは誰一人としていなかった。
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