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(ギノは逃げ切れるのか?)
ミレナには、魔法がある。それが原因で追われる身となっても、魔法を使って逃げ切ることはそこまで難しい話ではない。捕らえられてしまえばお仕舞いなのは仕方ないとして、捕らえられるまでならなんとかなる。
それが原因で更に追われることがほとんどだが。
ともかく、そんな特殊な力を持たない彼はどうだろう。彼はミレナに剣を向けなかった。ニズのように強いか、逃げ足が早ければなんとかなるかもしれないが──。
「──それ以前に、既に捕まっているのか」
ミレナがハッとして思わず口に出してしまう。追放、という言葉に囚われて、まだ逃げ出せると思い込んでいたがそうではない。
もう逃げられないのだ。
「そんな顔するな。ちゃんと助け出せるよ」
優しい声音が降ってきて、ミレナは思わず頬を押さえた。どんな顔をしていただろう。みっともなく不安を露にしていただろうか。
向かいのベッドに座るニズは、嘘偽りない笑顔を浮かべている。
「本当に、助けられるだろうか」
「随分と弱気だな?」
「当たり前だ。私についてこなければ、ギノはミラで普通の生活を──」
そこまで言って、また止まる。
「──ギノは、コンニルで暮らすことを望むだろうか」
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