第4章

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(ギノは逃げ切れるのか?)  ミレナには、魔法がある。それが原因で追われる身となっても、魔法を使って逃げ切ることはそこまで難しい話ではない。捕らえられてしまえばお仕舞いなのは仕方ないとして、捕らえられるまでならなんとかなる。  それが原因で更に追われることがほとんどだが。  ともかく、そんな特殊な力を持たない彼はどうだろう。彼はミレナに剣を向けなかった。ニズのように強いか、逃げ足が早ければなんとかなるかもしれないが──。 「──それ以前に、既に捕まっているのか」  ミレナがハッとして思わず口に出してしまう。追放、という言葉に囚われて、まだ逃げ出せると思い込んでいたがそうではない。  もう逃げられないのだ。 「そんな顔するな。ちゃんと助け出せるよ」  優しい声音が降ってきて、ミレナは思わず頬を押さえた。どんな顔をしていただろう。みっともなく不安を露にしていただろうか。  向かいのベッドに座るニズは、嘘偽りない笑顔を浮かべている。 「本当に、助けられるだろうか」 「随分と弱気だな?」 「当たり前だ。私についてこなければ、ギノはミラで普通の生活を──」  そこまで言って、また止まる。 「──ギノは、コンニルで暮らすことを望むだろうか」
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