第4章

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 もしギノが、自分が貴族であることを自覚して、コンニル公国の統治者として生きたいと言ったら。  ミレナとの旅は、そこで終わりだ。 「……どうだかな。混乱の中のコンニルがアグメンにどう対処するか。やはり統治して欲しいと願うか、処刑かの二択ってとこか」 「もし統治者として認められたら?」 「今のアグメンにそんな力や金はないと思うが、もしあったとしたら普通よりいい暮らしは確実だろうね」  今のコンニル公国じゃ、どんな貴族も何も持ってないかもね。ニズはそう付け足した。 (ギノがいなくなる)  ミレナは小難しい話をなしにして、それだけを漠然と考えてみた。  巻き込んでしまったのはミレナだ。こうなってしまったのもミレナの所為だ。  だというのに、この感情はなんだ。 「──おい、ミレナ?」 「え」 「動揺してるのか? 布団燃えてるぞ」 「!」  ニズに言われて初めて、魔法が発動してしまっていたことに気が付く。布団の端に小さな炎が灯っている。すぐに氷の魔法で消して、なんとか少し焦がしただけで済んだ。 「……ふーん? お前もお年頃だなぁ」 「何を……」 「精々悩めよ、若者。まあ今日はさっさと休むが吉だと思うけどね。明日はすぐに出るぞ」  ニズはニヤリと笑いながらベッドに潜り込み、すぐに寝息を立て始めた。  ミレナはテーブルの明かりを消して、同じように眠ろうとしたが、疲れているはずなのにすぐには眠れなかった。
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