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馬車に揺られて何日が経ったのだろうか。
食事は簡易なものが3度与えられた。1日3食で過ごしてきたギノには足りなかったから、明らかに数日は経っている。過ぎた空腹で、腹の虫すら鳴かない。
「降りろ」
足の拘束だけが取られて、馬車の外に出される。日光が眩しくて目を開けていられない。少し歩いただけで足に血が巡ったのがわかり、掻きむしりたくなる。手の拘束は取られていないので、それすら叶わない。
明るさに慣れて、やっと目を開く。
「ここ、は」
渇いた喉が貼り付いてうまく声が出ない。
「お前の家だ」
旦那が短く言う。
まず目につくのは背の高い金属製の門。門の奥には庭があるが、手入れされていないのか、草木は枯れて茶色くなっている。庭を抜けた更に奥にやっと建物が見える。
何人が暮らせるのかわからないほど大きな邸宅だった。白を貴重にした壁はやはり掃除されておらず、雨風に晒されて汚れている。3階建てで窓も多いが、そのどれもが閉じられている。
(これが、アグメンの……)
その荒廃した様子は見ていて痛々しいほどだ。空は晴れているのに、この邸宅の周りだけどんよりと曇っているような、そんな気すらする。
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