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「……俺をここまで連れてきて、どうするつもりだ?」
ギノはなんとか強がって、挑発的に尋ねてみる。旦那とその取り巻きは顔を見合わせて頷いた。
「俺たちはコンニルからゼツォニュアに逃れた移民だ」
「!」
「お前と会ったのは全くの偶然だし、アグメンの者だなんて思ってもいなかったが……」
旦那は辺りをぐるりと見渡して、少しの間を置いた。
「お前にその気があるなら、コンニルを建て直してくれないか」
「は……?」
「コンニルはアグメンの統治でしか成り立ってこなかった国だ。このまま統治者がいない状態が続けば、これ以上に荒廃してしまう」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ……!」
どうしてギノは頭を下げられているのだ。どうしてこんな、筋力も能力もないような少年に対して頭を下げられるのだ。
「もし統治ができないと言っても、ただアグメンの名を使って、新しい統治者を立ててくれるだけでいいんだ。頼む」
「故郷をこのままにしておきたくないんだ」
旦那以外の男たちも、真剣な表情で続いて頭を下げる。
(そんなこと言われたって……)
ギノがアグメンの者であるという証拠もないのに、なぜこんなに必死なのか。ギノには理解ができなかった。
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