第5章

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 その翌日も、ノストは町に下りた。目的は言うまでもない。  昨日会った辺りをふらふらと歩いて、姿を探す。が、すぐには見つからない。 (そもそもここにいるのかもわからないのに)  会えると思っていたのが甘かったのか。ノストは昨日彼女に案内されたルートを巡ってみる。 「あら……? ノスト様!」  幸運というものは案外近くに転がっているものだ。少し歩いたところの建物から、ロダの姿が現れる。彼女はノストの姿を認めると、すぐに駆け寄ってきた。 「またお会いできるなんて光栄です」 「ああ」  ここで「私もだ」と言えないのがノストの弱さである。適当な返事をして、風に揺れる彼女の長い髪を目で追った。 「今日はどちらに向かわれるのですか?」 「──特に、目的はない」  というか、既に果たされてしまった。昨日はただ外に出たくて出たくて、色々見て回りたいという気持ちが大きかったが、今日はそれよりロダと話がしたい。  それを、そのまま言葉にできたらいいのに。ノストが俯くと、ロダは首をかしげながら顔を覗き込んできた。 「あの、でしたら、歩きながらお話をしませんか」 「え?」 「ノスト様のことを、もっと知りたくなってしまいました」  あまりに素直なその言葉に、耳まで熱くなる。ノストはその体温を逃がすように、彼女の誘いを逃がさぬように、何度も首を縦に振って肯定した。
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