第5章

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 ノストはふと、彼女の肩を見た。重たそうな荷物が両肩から提げられているのに、どうして気付かなかったのだろう。女性に持たせる荷物の量ではない。 「ロダ、荷物を持とう」 「! いけません。これは私の仕事ですから」 「しかし、君が持つような量ではない」 「大丈夫です。私、見かけよりも体力には自信がありますよ」  そう笑うロダは、嘘をついているようには見えなかった。ノストは渋々といったように差し出した手を引っ込めた。 「……強いな、君は」 「え?」  思わず呟いてしまった言葉に、ロダが足を止める。  彼女は強い。肉体的にではなく、精神的に。  身分上、誰にも頼らずに生きていくことを躾られてきたのだろう。  それが、彼女を逞しく、美しく育ててきたのだろう。  そしてその姿に、ノストはただ惹かれるのだ。 「ロダ。私は明日も明後日も、更に日が経っても、この町に来るよ」 「え……?」 「特別な用がなくとも、君に会いに来よう」  ロダの頬が紅潮する。自覚があるのだろう、彼女は両手でそれを隠した。  ノストも言ってから照れ臭くなって、手の甲で口を隠した。  そして、二人で目を合わせて笑い合った。
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