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ノストはふと、彼女の肩を見た。重たそうな荷物が両肩から提げられているのに、どうして気付かなかったのだろう。女性に持たせる荷物の量ではない。
「ロダ、荷物を持とう」
「! いけません。これは私の仕事ですから」
「しかし、君が持つような量ではない」
「大丈夫です。私、見かけよりも体力には自信がありますよ」
そう笑うロダは、嘘をついているようには見えなかった。ノストは渋々といったように差し出した手を引っ込めた。
「……強いな、君は」
「え?」
思わず呟いてしまった言葉に、ロダが足を止める。
彼女は強い。肉体的にではなく、精神的に。
身分上、誰にも頼らずに生きていくことを躾られてきたのだろう。
それが、彼女を逞しく、美しく育ててきたのだろう。
そしてその姿に、ノストはただ惹かれるのだ。
「ロダ。私は明日も明後日も、更に日が経っても、この町に来るよ」
「え……?」
「特別な用がなくとも、君に会いに来よう」
ロダの頬が紅潮する。自覚があるのだろう、彼女は両手でそれを隠した。
ノストも言ってから照れ臭くなって、手の甲で口を隠した。
そして、二人で目を合わせて笑い合った。
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