第2章

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「よし、じゃあ自己紹介」  掏摸男は手をパンと鳴らして、人の好い笑みを浮かべた。 「俺はニズ。職業はフリーの傭兵ってとこかな。よろしく」  掏摸男、ニズは簡潔に済ませて、手をギノの方に向ける。どうやら次はギノの番らしい。 「ギノクォザー。ギノでいいよ。傭兵団レボウンドに所属してる」  他に紹介することもないので、ギノは黒魔法使いに手を向けた。 「……ミレナ」  彼女はたったそれだけで、自己紹介を終えてしまった。 「アンタら、あっさりしてるね」 「ニズも大概だと思うけど」 「ま、そうだね。似た者同士ってことで?」  何か違う気がするが、返す言葉も見つからないので黙る。 「……あっさりしているのは、自分を縛るものが少ない証拠だろう」  ミレナが言いながら、船の方に向かって行く。  残されたニズとギノは顔を見合わせた。 「ああいうこと言う奴だったんだ」 「淡泊かと思ってたけど、人情に厚かったりして」  ニズは楽しげに笑いながら、大股で彼女を追った。 「縛るものが少ない……」  傭兵団に所属せず一人で傭兵として動くニズを、名しか告げなかったミレナを、引き留める者はいないのだろうか。  もしここにレボウンドの仲間がいたら、ギノを引き留めるだろうか。  ギノは少しの名残惜しさを胸に、彼らを追った。
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