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船内は、甲板から階下に下りるといくつかの個室に分かれている、長旅に向いた構造である。大陸間の主な移動手段は船なので、安価ではあるがしっかりとくつろげるように発達してきたという。
ギノたちにあてがわれたのは、甲板に向かう階段のすぐ側の個室。両側の壁にベッドが二つ、中央にテーブルとランタン。背の高いニズですら届かない高い位置に窓がひとつ。そこから漏れる日光のお陰で今は明るいが、日が暮れればランタン頼りになるだろう。
「さて、これからどうする?」
出港まではまだ少し時間があるらしい。左側のベッドに腰掛け、二人を見た。ギノが床に座ると、ミレナは右側のベッドに座る。
「パリスナ王国、だったっけ」
「そう。ミレナの話が伝わるのも時間の問題だから長くは居られないと思うけど」
「……私はかまわない。ここからできるだけ遠くに逃げられたらそれでいい」
ミレナが簡単に言うと、ニズはやれやれと手を肩の高さに上げた。
「遠くって曖昧だよなあ。逃げた先に当てはあるのか?」
「当てはない、が……会いたい人がいる」
「会いたい人?」
意外な言葉にギノが首を傾げると、ミレナは目を閉じて、壊れ物を扱うかのような丁寧さで、言葉を紡いだ。
「私の姉だ」
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