手間のかかる幼馴染

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「よし、これでいいかな」 私は買い物かごの中を確認してレジへ進む。買ったのは数種類の野菜とりんごとバナナ。 買い物が終わると私は1度家に帰って自分の荷物を置き、今日学校で預かったプリントと野菜達を持って一つ年下の幼馴染が住む隣の家へ行く。 インターフォンを押してしばらく待っても誰も出てこない。蓮ママは買い物かパートにでも行ってるのだろう。 蓮は昔から体が弱くて学校を休みがちだった。 高校生になれば少しは違うかと思ったけど相変わらずみたいで、よく私がこうして学校のプリントなどを届けたり看病をしに来たりする。 「蓮、台所借りるからねー!」 2階の自室で寝ているであろう蓮に声をかけると、私は台所に行って野菜を切り始めた。 切った野菜をしばらく茹でてから醤油や和風だしで味付けしていく。本来ならお粥がいいんだろうけど、何故か蓮はお粥が苦手らしい。 野菜スープを作り終えると、私はりんごとバナナを切ってお皿に盛り付ける。 私にはよく分からないけどバナナがりんごの酸味を相殺してその後和解して美味しくなるとかなんとか。 野菜スープと果物をトレーに乗せて、蓮の部屋をノックする。 「蓮、入るよ」 声をかけて部屋に入ると、生活感の少ない部屋のベッドで蓮は丸まっていた。 「マリ姉……」 ベッドの横に座ると、蓮は安心した様な顔をした。 「食べられそ?」 「うん」 蓮はゆっくりと体を起こし、野菜スープを食べ始める。 「うーん、やっぱマリ姉のスープ美味い」 幸せそうに目を細めて口をモグモグさせる蓮はなんだか可愛い。 「しょっぱくない?大丈夫?」 「丁度いいよ」 延々とスプーンを動かし続ける蓮をなんとなく観察してみる。 顔立ちはわりと整ってる。カッコいいって言うよりはカワイイ系かもしれない。癒し系の部類かな? ものすごく病弱な代わりに頭はいい。
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