共存

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*** 夜の闇を月の光が照らす中、深影朔夜は静かに帰宅する。 「……ただいま」 「お帰りなさい」 自分の小さな呟きに、まさか返事がくるとは思っていなかった深影は、思わず目を瞠る。 時刻は深夜を回っているにも関わらず、眠らずに共有スペースに居座っていた同居人の名は、朝日向光輝。 「……夜更かしは健康に悪いぞ」 「深夜帰りしている人に言われても説得力ありませんよ」 自分でもそう思うので、深影は口をつぐんだ。 どれだけ深影が夜遅くに帰宅したとしても、不思議なことに、朝日向はいつも起きている。 まさか自分が帰ってくるまで待ってくれている、なんてことはないだろう。 朝日向が、朝に弱い夜型人間なだけだ。 「猫にでも引っかかれましたか」 「は?」 意味が分からず問い返した深影に、引っかき傷、と呟いた朝日向が頬のあたりを指さした。 思い当たる出来事があった深影は、あぁ、とわずかに表情を歪めてごまかした。 そんな深影を、じっと朝日向が見据えてきた。 観察されているような視線に、深影が居心地の悪さを感じて後ずさると、朝日向の視線がスッと細められる。
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