僕と奇妙な同居人たち

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 *** 「なあ、そろそろこの同居、やめにしないか?」  突然、有田裕吾(ありたゆうご)がそんな事を言い出した。 「元々ここは定員一名の筈なんだ。もう何年もそれをみんなで共有している訳だから……とっくの昔にキャパオーバーなんだよ」 「確かに。いい加減共用ってのも、うんざりして来てたのよね。そろそろ潮時なのかしら」  伊万里陽子(いまりようこ)も納得の意見を表した。 「ええっ! ボクなんてこの間来たばっかなのに! そんなのずるいよ!」 「そうだよ。同居をやめたら、あぶれた奴らは何処に行きゃいいんだよ?」  久谷拓巳(くたにたくみ)鋏勇次(はさみゆうじ)は異を唱える。 「そ、そもそも、どうしてこんな大所帯になったのかなぁ……? 定員一名……もともとは僕だけの筈、だったのに……」  ぼそりとした呟きが空間の隅っこから漏らされた。  ピキッ! そんな音を立てて一気に凍る場の空気。  まさか聞こえるとは思わない程の声量だったにも関わらず、この気弱な清水陸斗(しみずりくと)の一言が、ここから始まる熾烈な居住空間争いの一番のきっかけとなった。
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