プロローグ

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「いやいや。なに言ってるんですか。そう言って貰えるのは嬉しいけど、実際は茜の方がしっかりしてますし、私は美人なんかじゃないです。じゃあ、今日は帰りますね。お大事にって伝えておいて下さい」  軽く会釈して去ろうとした私をおばちゃんが呼び止める。 「美咲ちゃんは自分の事を卑下しすぎよ。……とにかく今日はわざわざありがとね。茜が元気な時はいつでも遊びにおいで。おばちゃん、腕によりをかけてご馳走するから」  おばちゃんは優しく微笑んだ。 「ありがとうございます。楽しみにしてますね」 「うん。むしろ茜が居ない時でも来ちゃって良いから。おばちゃんにとっては、美咲ちゃんも娘みたいなもんなんだからね」 「そう言ってもらえると嬉しいです。私もおばちゃんの事、本当の母親みたいに思ってるんで。また来ますね」  おばちゃんの言葉が素直に嬉しくて私は笑顔で返す。 「またね」  見送ってくれるおばちゃんの言葉がやけに胸に刺さった。  それは多分、私が“また”が無いかもしれないと思ってしまったからだろう。  茜、本当どうしたんだろうな?
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