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「だって悪いのは私じゃん。私のせいで誰かが傷つくなんて嫌だし」
私は思っていた事をそのまま口にした。
「だってじゃねえよ。自分の事、もっと大事にしろよな」
秀人は不満そうに顔をしかめる。
「……ああ。心配してくれて、ありがと」
それしか言葉が出なかった。本気で心配してくれてるのが伝わってきたから。秀人の変わらない優しさが胸に染みて、言葉に詰まってしまったのだ。
秀人が転校してから中学に入るまで、なんだかんだで結構嫌なこと多かったんだよな。だから中学で茜と知り合うまで、他人と関わるのが面倒になってた。
茜には、ある事がキッカケで家庭での事がバレた。そん時、茜は自分の事のように涙を流して、本気で心配し、励ましてくれた。
そんな優しい茜を傷つけるあの男。絶対許さねえ。
「美咲、変わってねえな」
少しの沈黙の後、秀人は優しい目で私を見つめて言う。
「へっ? 何が?」
「性格が。それに見た目も」
いや、性格は分かんねえけど、見た目は変わってんだろ。髪の色とかもだけど、そもそも最後に会ったの六年前だし。そりゃ、化粧してないからすっぴんだけどさ。流石に変わってるっしょ。身長だって高くなってんだし。
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