再会

4/19
前へ
/19ページ
次へ
 私を助けようとしてくれてる人が……、うん。多分、助けようとしてる筈? とにかく、その人がピンチじゃん。助けてくれるのは嬉しいけど、巻き込む訳にはいかねえし。 「あの、悪いのは私だから……」  ある程度の事は覚悟の上で口を開いた私だったけど、後ろの人に遮られた。 「やっても良いけどさ。その前に閉めた方が良いよ?」  後ろの人、なんつった? やっても良いけどって聞こえたけど、ダメでしょ。だいたい、後ろの人は何も悪くないし。マジで巻き込む訳にはいかないよ。それより閉めるって何を? 「閉めるだと?」  ガラの悪い男は、怪訝な顔付きで後ろの人を睨みつける。 「そっ。閉めるの。そーこ」 「なっ……!」  後ろの人が、どこかを指差しているのか、目の前の男は視線を下に移した。  私もつられて男の視線の先を見る。あっ、成る程。そこの事ね。  みるみるうちに男の顔は紅く染まり、「覚えてろよ!」というお決まりの捨て台詞を吐いて去って行った。  私は助けてもらったお礼を言う為と、聞き覚えのある声の主を確かめる為に振り返った。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加