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「高校入ってすぐ、バイトして金貯めてさ、去年の十二月から一人暮らししてんだよ。本当はもっと遠くにしようと思ってたんだけどな。つか、それを言うなら秀人もじゃね?」
「実は俺も一人暮らし」
夕日を背にしてニコッと笑った秀人の顔に、一瞬ドキッとした。
「そっかぁ。何処に住むの?」
私は顔が熱くなってきたのを実感し、赤面してんのがバレないように少し俯いて問い掛けた。
「ここ。美咲は?」
マジっすか。
秀人が指差した先は、今居る公園の目の前にあるマンション。要するに、私の住んでるマンションと同じだった。
「私も、ここ」
「マジ?」
「マジ」
そりゃ驚くよ。偶然再会した幼なじみが、偶然、同じ高校に通う事になって、更に住む場所まで同じって。話が出来すぎてる。
「じゃあさ。ちょっと美咲の部屋に寄らせてもらって良い? 俺の部屋、ダンボールで埋もれてっからさ。ちょっと休ませて?」
「良いよ」
私は久しぶりに会った幼なじみとゆっくり話がしたくて、二つ返事でOKした。
秀人とともにエレベーターに乗り、五階にある自分の部屋に向かって歩いていく。
部屋の前に到着すると、秀人は驚いたような表情で口を開いた。
「ん? まさかここな訳?」
私の部屋を指差しながらこっちを見る秀人。
「そうだけど? 何そんなに驚いてんの?」
「いや、俺の部屋こっち」
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