予兆

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 目が覚めると、三時だった。ちょうど良い時間だ。  私は身支度を整え、いつも通り自転車に跨がる。  原チャの免許は有るけど、一人暮らしの貧乏学生には買う金が無い訳で。通勤は何で行っても良いから自転車で通ってる。  新聞配達って夜行性の私にとっては、意外にキツイんだよな。寝ずに行くのは良いけど、中途半端に寝てから行くと最悪。  じゃあ何で新聞配達かって言うと、やっぱり夜にフリーの時間が欲しいからである。  私は睡眠モードの身体を無理矢理起動させて、何とか今日の仕事を終えた。家に着いたのは、いつも通りの六時半。 「てか、眠っ……!」  そう独り言を呟いた所で、私の記憶は途絶えた。要するに寝てしまった訳だ。着替えもしないで。  次に目が覚めたのは七時半。 「げっ、やっべ!」  私は急いで準備を済ませ、制服に着替えて出発。弁当は、作る時間ないからコンビニで買ってくか。  実際ん所、私は遅刻常習犯だから、いつもなら寝坊の場合のんびりしてんだけど……、急げば間に合うなら急ごうって気もあって、今日はかなり急いでいる。  その甲斐あって、かなり余裕を持って着く事が出来た。予鈴まで十分位ある。
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