予兆

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 私のクラスは、二階に上がって一番手前の『2ーA』。私は何処の学校でも同じ、横開きのドアをガラリと開けた。  ん? 何だ、この重い空気は。何かみんなこっち見てんだけど。私の顔に何か付いてんのか?  疑問には思ったものの、私はあまり気にしないで茜が来てるかを確認する。  茜は自分の席に居た。艶のある綺麗な黒髪。背中まで伸びたサラサラのストレートヘア。大きな瞳が印象的な愛らしい顔立ち。当の茜は、私と目が合うと咄嗟に視線を逸らした。  私は茜の席に向かう。  すると、どこからかヒソヒソ話が聞こえてきた。 「神谷さんって、一人暮らしじゃん? 生活費は援交で稼いでんだってさ」 「うわっ。マジで? キモッ」  神谷? クラスに神谷は私だけで、確かに一人暮らしだけど、もちろん私は援交なんてしてない。何を言ってんだ、こいつらは。  更に別の方からも話が聞こえてくる。 「あとさぁ。中西くんって望月さんの彼氏でしょ? 昨日、中西くんと神谷さんが一緒に居てさ。何してたと思う?」 ……バカ西が私に告ってきた訳ですが何か?
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