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バカ西は私が殴った左頬を押さえて痛がっているけど、私の怒りは治まらない。茜の純粋な心を踏みにじりやがって。
そこに茜が駆け寄ってきて、私を睨みつけた。
「美咲、本当に最低だね。自分が何したか分かってんの?」
「何もしてねえよ」
茜が相手なのに口調が戻らない。私は相当、頭に血が上ってんだな、と自覚した。
「何もしてない? 人の彼氏を、私の彼氏を……、奪おうとした挙げ句、自分の都合が悪くなったら殴れば解決すると思ってんの? 見損なったよ」
「知らねえよ」
私はその場を去ろうとした。今話しても解決しないと思ったから。でも、目の前の茜を見て私は立ち尽くしてしまう。
「美咲、何で? ひどいよ……。ひどい……」
そう。茜は泣いていたのだ。
私は何て答えて良いのか分からなかった。今の私が何と言おうと茜は信じないだろう。それに私は今、完全に頭に血が上ってて、思考が正常に動いてない。そんな私が茜の涙を止める台詞なんて思い付かなかった。
「茜……、ごめん。今は上手く話せないから、昼休み良い?」
茜は小さく頷いた。
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