予兆

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 教室のドアを開けると、一斉に視線が集中する。  休み時間だけあって、他のクラスの奴らも居る。多分そいつらも噂を聞いたんだろう。教室に来たのが私だと分かった瞬間、ヒソヒソと話を始めた。  はいはい。勝手にやってて下さいな。本っ当、暇人だな。  私は茜の席に視線を移す。  茜の席は、わざとらしくガードされていた。間違いなく私に話をさせない為だろう。普段は茜と話もしないような女どもが茜の周りを囲ってる状態。その中には、さっき悲鳴を上げてた奴も居る。  私は気にしないで茜の席に向かった。 「あんた、何なの? 私達、茜と食べてんだから、あっち行ってくんない?」 「てか、キモいし。近寄らないでよ」  言っている台詞とは裏腹に、私を見る目は怯えている。だったら言うなよ、とか思いながら茜に視線を移した。 「茜、ちょっと良い?」 「うん」  茜は、すぐ返事をしてくれた。しかし……。 「ちょっと。勝手に話を進めないでくれる? 茜は今、私達とお昼の最中なの」 「あっそ。でも、茜は良いっつったよな?」  私の返答を聞いた女は、私を見ていた時の怯えた目から一変し、茜を睨みつける。  はぁ。どうやら諦めた方が良さそうだな。今、強引に連れ出したら、後で茜が酷い事されるかも。  私は茜と話すのは日を改める事にして、無言で踵を返すと教室を出た。
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