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「何、言ってんの。悪いのは私だよ? 美咲はいつもそう。自分が悪くなくても、嫌な事は全部一人で被ろうとする。そもそも美咲を傷つけた私に守ってもらう権利なんてない。仮に何かあっても自分でなんとかするから大丈夫だよ」
茜は未だ哀しげな表情でゆっくりと話す。そして一度目を閉じて大きく深呼吸をした後、真っすぐ私を見据えて付け加える。
「とにかく、月曜日学校行ったらまずは美咲の誤解を早く解かないとね」
その表情は、直前の表情とは少し違い、決意に満ちた力強さが宿っていた。
「美咲ちゃん、私も協力するよ。誤解が解ければ美咲ちゃんが心配してるような事にもならないんだし、誤解を解くのが優先だよ。絶対に美咲ちゃんを一人になんかしないから」
唯も柔らかく微笑んで茜に同意する。
二人の気持ちは嬉しいけど、やっぱり今は私と一緒には居ない方が良いと思う。少なくとも噂が完全になくなるまでは。
元々私は中学時代、同中の奴に恐がられてた。そいつらから噂が広まって、高校の入学当時も結構大変な思いをした。
暫くして噂は収まったけど、今回の事で噂の広まりが異様に早いのも、まだ私を敵視してる奴らが居るからじゃないだろうか。
その事から考えても、やっぱり私と居るのは得策じゃない。唯はまだしも、茜はそれも分かってるはずだ。
そう思って口を開きかけた時、玄関のチャイムが鳴った。恐らく秀人だろう。
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