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私の話を真剣に聞いていた唯は暫く黙って考え込んだ。
「中西さんの方から、美咲ちゃんに? 初めから茜の事を出汁(だし)にしてたなんて……、許せない。なのに茜には嘘の電話して、美咲ちゃんを悪者に仕立てあげるなんて信じらんない!」
「嘘の電話?」
気になるフレーズがあったから思わず復唱する私。
すると唯は、その可愛い顔に似つかわしくない程、怒りをあらわにして頷く。
「うん。中西さんは、茜に相談があるって電話したんだよ。茜のツレの美咲って子に迫られて困ってるって」
「つまり茜に噂を伝えたのはバカ西本人って事か。だから茜は私に確認もしないで噂を鵜呑みにしたんだな」
私は理解すると同時に納得した。
実際、付き合ってる相手にそんな相談されたら疑う事はしないだろう。それに加えて、茜は思い込んだら突っ走るところがあるから尚更だ。
「美咲ちゃん……」
唯は何故か浮かない表情で口をつぐむ。
突然どうしたんだろ?
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