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いつもの優しいだけの瞳とは違う、真っすぐで力のある瞳。
私には、唯の瞳が“優しさと甘さは違う。甘さは時として、人の為にならない”と物語っているように見えた。
そして唯の言葉は私にとっても正論で、ただそれを否定したい自分が居ただけって事に気付かされた。私の口から真実を語って、茜を傷付けたくなかったから。
「そうだな。唯の言う通りだよ。でもやっぱり……」
「――とにかく茜を呼ぼう? 誤解は早く解いた方が良いと思う。それに茜は、美咲ちゃんに裏切られたと思ってる方が、中西さんに裏切られるより辛いんじゃないかな。だから本当の事を話した方が傷付かずに済むよ。ちょうど学校終わったくらいの時間だし、今から電話するね」
まだ迷いの消えてない私の言葉を遮って、唯は鞄から携帯を取り出すと操作を始める。
電話での受け答えを聞いていると、茜はちょうど近くに居るみたいだ。
「ちょうど今、帰りだからすぐに着くって」
どうやらOKの返事をもらったようで、唯は満足そうに微笑んで携帯を閉じる。
「そっか……。了解。ちょい、お茶取って来んな」
急展開した事態に戸惑いを覚えながら、気持ちを整理しようと思い一旦席を立った。
唯の「うん」という返事を聞いた後、キッチンに行き、茜の分のお茶を用意する。ついでに唯と自分のお茶も追加した。
さて、もうすぐ茜が来る訳だけど、どうすっかな。
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