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私は茜をソファに座らせると、カウンターに立てかけてある折りたたみ椅子を取りに戻る。
怒ってた筈の茜が、何で謝ってきて何で泣いてんだろう? やっぱ朝の言い方がキツかったか?
あれこれ考えつつ椅子を運び、テーブルを挟んでソファの対角線上に置く。
茜は俯いて顔にハンドタオルを当て静かに涙を流している。
「茜、大丈夫か?」
私は椅子に座り、茜に声をかけた。茜は一瞬、顔を上げてコクンと頷く。
「美咲、ごめんね?」
茜は泣き顔のまま、しっかりと私を見据えて謝ってきた。
でも私には茜が謝ってる理由が思い付かなかった。少なくとも、今の茜は本当の事を知らないはずなんだから。
「さっきも言ったけど、何で謝んの? 謝んのは私の方だよ。朝はごめんな。あん時は頭に血が上ってて……」
「そんなの謝る事じゃない! 原因を作ったのは私。私は美咲に嫌われて当然の事をしたんだよ?」
茜が突然、立ち上がって叫んだから素でビビった。唯は私以上に驚いたらしく、眼球が飛び出そうな程、目を大きく見開いて茜を見ている。
茜は、と言えば、口調の強さや勢いとは裏腹に、弱々しく悲しげな瞳をしていた。
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